恋の神様はどこにいる?

「狭い部屋ですけど、ど、どうぞ」

今まで何人かの男性とお付き合いしたけれど、部屋に入れたことはなくて。

買い物中は普段通りの自分で要られたのに、部屋についた途端緊張からかうまく言葉がでなくなってしまった。

「おう。お邪魔します」

私の緊張とは裏腹で、志貴はなんてこと無く部屋にはいると、キョロキョロと辺りを見渡し始める。

「あんまりジロジロ見ないでよ」

「いいだろ、別に減るもんじゃなし」

それはそうかもしれないけど。

でもね。よ~く見ると、あっちこっちに片付け忘れたものが点在していて。慌てて掃除したのがバレてしまわないか、ドキドキものだったりするわけで。

「まあ小町にしては綺麗にしてるな。掃除、結構大変だったろ?」

やっぱりバレてる……。

志貴っていい加減そうに見えて、そういうところしっかりしてるというか人のことちゃんと見ている。

逆を言えば、侮れない相手というわけだ。

「おい、台所借りるぞ」

いつの間にかキッチンに移動していた志貴は買い物袋をキッチンの上に乗せると、買ってきたものをひとつひとつ並べ始めた。

志貴って大雑把な感じに見えるけど、意外と几帳面だったりする?

志貴の知らなかった一面が見れたようで、ちょっと嬉しいかも。それに男の人がキッチンに立つ姿もあまり見たことがないから、何気に見入ってしまう。



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