恋の神様はどこにいる?
「何ぼーっと突っ立ってんだよ。お前も手伝え」
「え? あ、うん」
「玉葱の皮くらい剥けるだろ?」
いけない、いけない。
性格はどうであれ、やっぱり志貴はどこから見てもイケメンで。キッチンに立つ姿は人気料理店のシェフ並みにカッコよくて、目が離せなくなってしまっていた。
志貴から玉葱を受け取ると、皮を剥く。
今晩のメニューは、塩焼きそば。
志貴の得意料理らしく、『海鮮と野菜がたっぷりの栄養満点料理で、俺の自慢の一品だ』と買い物中ずっと豪語していた。
それはもう、耳にタコが出来るくらいに。
だから、お手並み拝見とばかりに見ていたんだけど。
豪語していただけのことはあるかもしれない。
野菜を切るのもスピーディーだし、形も全部同じ大きさに揃えてある。エビやアサリは丁寧に下処理され、イカも野菜に合わせた大きさにカットされた。
「スゴい……」
「そうか? こんなこと、誰でもできるだろ」
「私、できない」
「だろうな」
さも当たり前のように言うもんだからカチンと来たけれど、本当にできないから文句のひとつも返せない。
志貴の意地悪。もう少し、優しい言葉を掛けてくれてもいいんじゃないの?
一応私も女の子なわけだし……。