恋の神様はどこにいる?
ま、負けた……。
でもレジで支払いをする時、私が払うって言ったのを制したのは志貴の方でしょ? それを何よ、俺が払ってやったみたいな言い方しちゃって。
でも志貴は機嫌がいいのか鼻歌交じりにフライパンを持ち上げると、皿に塩焼きそばをこんもりと盛っていく。
湯気が上がるそれは美味しそうな匂いを部屋中に充満させ、気持ちとは裏腹に私の腹ペコ中枢を刺激していった。
「よしっと、出来上がり。小町も食う?」
「た、食べたい……」
「そっか、食べたいか。じゃあ、何かしてもらわないとな」
「え?」
玉葱剥いたのに、お皿も出したのに、ちょっとふてぶてしい態度とったからって食べさせてくれないの? こんな腹ぺこの女の子に、ただ指をくわえて見てろとでも言うの?
鬼!! 悪魔!!
その上、何かしてもらわないとって。私に何させるつもり? もしかして、身体を使った奉仕とか? うん、志貴ならありえる!!
なにせ普通の顔して“下婢”なんて言っちゃう人だから、きっととんでもない要求をしてくるに違いない。
志貴の口からどんな言葉が飛び出してくるのかビクビクしながら身構えて待っていると、そんな私を見て志貴がブハッと堪えきれなくなったように大笑いし始めた。