恋の神様はどこにいる?

「な、何よいきなり?」

「またエロいこと考えてたろ? バレバレだってーの」

「だって、何かしてもらわないとなって言ったじゃない」

「誰がエロイことだなんて言った。俺はおまえが思ってるほど、下品な男じゃないつーの」

「でも前に、俺も男だから年中やらしいこと考えてるって……」

「それは世間一般の話。それにお前を抱くのはまだ早いって、何度言わせれば気が済むんだよ」

そう、それそれ。『私を抱く』って勝手に言ってるけど、その根拠の無い言葉はどこから出てくるわけ?

そりゃね、志貴のことを好きと意識してしまった今となっては、“抱く”と言う言葉に敏感に反応しちゃうけど。

志貴は私のことをどう思って、そんなこと言っているのかわからなくて。

エッチはできないくせに次から次へと彼氏を作る、尻軽女とでも思っているのかな……。

それはそれで、ちょっと悲しい。

最初からそんな風に思われていたら、一ヶ月で志貴を落とすことも自信がなくなってしまうというか、絶対に落とせない。

「小町?」

「ん?」

「まあとにかくだ。俺はおまえを、手放すつもりないから」

「それって、召使いとして?」

「それは、おまえ次第。よし、食うぞ。後片付けは小町がしろよ」

塩焼きそばが盛られた皿をスッと私の前に滑らすと、顎をクイッと差し出して「食え」と一言。



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