恋の神様はどこにいる?
ちょっとカッコイイと思って、いい気になってんじゃないわよ。
もう付き合ってらんない。ここはこの場から、さっさと退散したほうが良さそうだ。
すっくと立ち上がると、挨拶もせずにその場を離れようと足を踏み出す。
でもすぐに腕を掴まれてしまい、それ以上は前に進むことができなくなってしまった。
はあと大きなため息をつくと、ゆっくりと振り返る。
「手、離して欲しいんですけど?」
「なあ小町。俺を一ヶ月で落としてみろよ。そしたら、バカって言ったの撤回してやる」
「はあ!?」
こいつ、今、なんて言った? 私の間違いじゃなかったら、『俺を一ヶ月で落としてみろよ』とか聞こえたんだけど。
それに私の言葉は聞いてなかったのか、未だに腕は掴まれたまま。
もうかんべんして欲しい。
なにがどうしてこんなことになってしまっているのか、私には全然理解できない。
こいつは一体何者? 新手の詐欺か何か? まさか私がアホそうな女だったから近寄って、騙そうって魂胆?
そうだ。絶対そうに違いない。
キッと彼の顔を睨みつけると、腕を大きく振る。腕をつかむ力が緩んでいたのか呆気なく腕が外れると、彼はスッと目を細めた。
な、何よ今更、そんな顔見せて……。
まるで愛らしいものを見るような顔をして、私のことを見るなんて。