恋の神様はどこにいる?

「なんだよ。今度は笑ってるのか? ホント小町って、おもしれーよな」

「それはお互い様でしょ?」

「はんっ!! 勝手にほざいてろ。あ~あ、おまえのせいで焼きそば、冷めちまったじゃねーか」

「私のせいって何よ!!」

ふたりの間に少しだけ距離ができていて、勢いで志貴の胸をドンッと叩く。でも志貴はなんでもなかったようにニヤリと笑みを見せると、私の腕を乱暴に捉えた。

「痛い」

「俺に手をあげる奴には、罰を与えないとな」

「ふぇ? 罰……っ!?」

罰なんていらない!! と言おうとした唇は、志貴の唇であっという間に塞がれてしまって。一度目のキスの時と同じくやっぱり動けなくなってしまった私は、志貴が与える罰をただ受け続けていた。

でも次第に頭の中は意識を取り戻してきて、自分が今置かれている状況を把握し始めた。

時既に遅し───

志貴の罰という名の甘いキスはどんどん深さを増していき、「はぁ……」と息を漏らした隙間から志貴の舌が入ってきて私の舌を見つけるとゆっくり絡め始めた。

これがまだ志貴のことを“好き”と自覚する前だったら、志貴の身体を押し戻していたのかもしれないけれど。

今の私は志貴の舌を、容易に受け入れてしまう。

志貴の気持ちは、全くわからないのに……。



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