恋の神様はどこにいる?

「為せば成るって、ことわざもあるくらいだし」

なにせ私の持ち味は、前にも言った通り“明朗快活”ぐらい。暗く考えこむなんて、性に合わない。

ここは、やるしかないでしょ!!

気持ちを切り替えることに成功すると、顔を上げ椅子から立ち上がる。

「志貴、明日は十時に来いって言ってたよね」

一応なんて言っていたけど、面接は面接。それなりの格好をして行くのが常識。

でも普段あまり服装に気を使わないだけに、スーツは何着も待っていないわけで。

「まさか、会社辞めるなんて思ってなかっしなぁ」

ぶつぶつ呟きながらクローゼットまで行くと、勢い良く扉を開けた。



「雨じゃなくて良かった」

昨晩の天気予報で気象予報士は、『この地方の明日の天気は雨です』なんて言っていたから心配していたんだけど。

日頃の私の行いが良いからか、梅雨だというのに爽やかに晴れていて。廊下に立ち空を見上げると、大きく深呼吸をして身体に新鮮な空気を取り込んだ。

「さて、そろそろ行きますか」

クルッと向きを変え玄関の鍵を掛けると、もう一度身だしなみチェックする。

昨日選んだスーツは、チャコールグレーのカービーシルエット取り入れたものをチョイス。パンプスの色は黒。

足が綺麗に見えるという、ヒールの高さが5cmのものを履いた。



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