恋の神様はどこにいる?
「強気なところもいいな。やっぱ小町、おまえに決めた」
言ってることが、さっぱりわからない。何を私に決めたっていうの?
もう勝手にして。私には関係のないこと。どこの誰かもわからないんだし、もう二度と会うこともないだろう。
「さようなら」
「なあ。明日ここで、月に一度開催される『月次祭』がある。小町、お前も来い。そうだなぁ……」
そう言って、顎を擦りながら何かを考え始めた。
考えたって無駄。何を考えてるかは知らないけれど、私はもう二度とここには来ないと決めたんだから。
「午後1時にここで待ってろ。いいな、必ず来いよ。じゃないと……」
一瞬彼の目がキラリと光り、背中にゾクッとしたものが走る。
何勝手なことばかり言ってるの。脅迫するつもり? 私はそんなの全然怖くないんだから!!
「じゃあ、本当にさようなら。どうぞ、お元気で」
クルッと向きを変えると、脇目もふらず歩き出す。
待ってろとか必ず来いとか、私はあんたのものじゃないっツーの。
今日ここに来るんじゃなかった。なんで私ばっかり、こんな目に合わなくちゃいけないのよ。
怒り心頭にズンズン歩いていると、後ろから脳天気に叫ぶ声が聞こえてきた。
「こまちー。明日遅れんなよー」
何がこまちーよ。気安く人の名前、呼んでんじゃないわよ。
私は耳を塞ぐと、一目散にその場から走りだした。
「誰が行くもんか!!」
この時の私は、本当にそう思っていたんだけど……。