恋の神様はどこにいる?
「なあ小町。なんでそんなに抱きついてるわけ?」
「え? ああぁ!! ご、ご、ごめんなさい!!」
もう、私ったら!! 志貴に抱きとめられて嬉しかったからって、何自分からどさくさ紛れてギュッと抱きついちゃってるのよ!!
恥ずかしさから顔も身体も一気に熱くなって、大慌てで志貴から離れようとしたんだけど。
「あ、あの、志貴?」
「何?」
「離れられないんだけど……」
「だろうな」
だろうな……なんて、ニヤリと意味ありげに笑われてしまった。
志貴のことだから、また何かろくでもないことを考えてるんじゃないの? いいや、絶対そうに決まってる!!
私の中でそう結論が出ると、何としてでもこの腕の戒めから逃れようと頑張ってみたけれど。
「おまえがどんなに足掻きもがこうと、俺からは逃げられないってわかんないの?」
「じゃあなんで、『抱きついてるわけ?』なんて、疑問詞を投げかけてくるのよ?」
「いやただ、なんでかな~って思って言っただけ。って、まさか小町、俺に惚れちゃったとか?」
「ほ、惚れるワケないでしょ!! 誰が志貴なんか好きに……」
最後はゴニョゴニョと言葉を濁して、その場を切り抜けようと思ったのに。志貴はその先が聞きたいのか、少し身体を離すと顔をグッと近づけた。