恋の神様はどこにいる?
「俺なんか好きに……なんだよ? 惚れたの? 惚れてないの? どっち?」
「どっちって言われても……」
「早く答えないとここでキスするけど、いい?」
こんなところで、いいわけないし。かと言って、今この場所で“好き”なんて言えるわけないし。でもキスはしたいし……。
って、何言っちゃってるの私!?
色んな感情が入り混じり、どう答えていいのかわからなくなってしまう。
「返事がないってことは、キスしてほしいってみなしていいんだよな?」
「ちょ、ちょっと待って……」
あぁ、もう駄目。万事休す!!
こんな時にだけ素直になってしまう心は私の目を閉じさせてしまい、志貴を受け入れる準備をしてしまう。
そして志貴の近づいてくる気配を唇に感じたその時───
「あれ~。志貴と小町ちゃん、こんなところで何してるの?」
背後から声を掛けられ、私と志貴は驚きから、弾かれるように身体を離した。
急いで後ろを振り向くと、そこにいたのは楽しげに微笑む千里さんで。
「おい兄貴。いつからそこにいた?」
「うん? いつからって、いま来たばかりだけど。なになに、ふたりはいつから抱き合ってたの?」
「だ、抱き合ってたわけじゃないんですよ、千里さん。私が転びそうになったのを、志貴が助けてくれただけで」
「へぇ~。で、お礼のチューしてたんだ」
「まだ、してねーし」
「もう志貴!! 余計なこと言わなくていいのに」
恥ずかしすぎる。どっかこの近くに穴はない? 出来ればすぐにでも、入りたい気分なんですけど……。