恋の神様はどこにいる?

面接だろうとなんだろうと、まずは挨拶をしなきゃと口を動かそうとしても、カサカサの唇が邪魔をして言葉がなかなか出てくれない。

「は、はじめまして。真野小町と申します」

やっとのことで名前だけ伝えると、目の前にいるお母さんの顔が今まで以上に明るくなった。

「まあ小町ちゃんって言うの? 古風で可愛らしい名前ね。野々宮小町……うん、うちの苗字ともピッタリだわ」

はあ!? なんでそこで、私の名前と野々宮を掛け合わせるの? それじゃあまるで、志貴の恋人として紹介されに来ているみたいじゃない!!

今日の目的は面接。巫女になるためにここに来たのに、何かおかしな方向に話が進んでいる気がするのは私だけ?

「えっと、お母様? 私は今日ここへ、面接に……」

「あれ? 母さんに志貴に小町ちゃん。こんなところで何してるの? さあ、中に入って」

またいきなり、千里さん登場。千里さんって、いつも絶妙なタイミングで現れるから、どこかで見てるんじゃないの? なんて勘ぐってしまう。

またまた話を途中で切られてしまい意気消沈する私を、千里さんが腕を引いて中へと導く。

でも志貴はそれを許さなくて。私の腕に絡ませている千里さんの腕をパシっと叩きどかすと、私の身体を自分の方へと引き寄せた。



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