恋の神様はどこにいる?

「俺が連れて行く」

「はいはい。ホント志貴は、小町ちゃんのことになるとムキになるんだから」

「俺のどこがムキになって……」

そういうところが、ムキになってるっていうんでしょ? 

千里さんに食って掛かろうとする志貴を押さえると、志貴は面白くなさそうにチッと舌打ちをした。

「小町ちゃんも大変だね。志貴みたいな子供に懐かれちゃって」

「はぁ!? 兄貴、今の言葉もう一度言ってみろよ」

「志貴なんかやめて、僕にしない?」

千里さん、あなたっていう人は……。そういうことを言うから、志貴が反抗的な態度をとるんじゃない。

まあ私にしてみれば、今のふたりはどっちとも子供なんだけど。なんて言う私も、まだまだ子供。

それに私はまだ、志貴と恋人でもなんでもなくて。私からの、一方的な片思い。

時々志貴が見せる優しさやドキドキする行為に、もしかして志貴も私のこと……なんて勘違いしそうになってしまうけど。言葉にはしてもらってないから、志貴の気持ちはわからなくて。

少しでも志貴のそばにいれば。志貴を一ヶ月で落とすことが出来れば。私にも明るい未来が待っているのかもしれない。

今はそう思って、ただ前に進むだけ。

自分を変えるため。そして、志貴との未来を手に入れるために……。



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