恋の神様はどこにいる?
なんてカッコいいことを言っているけれど、どちらも全然自信がなくて。ただどうしてだか、ヤル気? みたいなものだけは沸々と沸き上がってくるから驚きだ。
「小町。兄貴には近づくなよ。何しでかすか、わかったもんじゃない」
「やれやれ。志貴は僕のことを、何だと思ってるんだろうね」
やっぱりいつものようにあっけらかんとして笑みを見せると、応接室の中へと入っていった。
「おい。そんなところで立ち話も何だ。みんな、こっちに座りなさい」
おお、そうだった!!
志貴のお母さんが突然現れてその無邪気さに驚き、千里さんが戻ってきて相変わらずの志貴とのやりとりにあたふたして、お父さんがいることをスッカリ忘れていた。
お母さんに促されるように座ったのは、三人掛けのソファーで志貴の横。テーブルを挟んで前にあるもう一つの三人掛けのソファーには、お母さんと千里さん。そしてお父さんは、上座でひとり掛けのソファーに座っている。
この状況を見て、『本当にこれで面接するの?』って思うのは、絶対に私だけじゃないはず。
これはどうみても、“初めて彼氏の家に招かれた彼女”の図、と言ったほうが当たっているような気がしてしょうがないんですけど。
でもこの場でそんなこと言えるわけもなくひとり緊張から硬くなっていると、お父さんが重々しい声で言葉を発した。