恋の神様はどこにいる?

何故そこで、志貴が出てくるの?

ふたりの間に何かがあったのはわかるけれど。それが何なのか知りたくて、志貴の顔を覗きこむ。と、志貴のある変化に気づいた。

「志貴、耳が赤くない?」

「っ!? 放っとけ!!」

「何か恥ずかしいことでもあった?」

「小町、おまえなぁ。そういうこと言ってると、罰決定だな」

「罰って、私何も……」

「そうよ、志貴。罰は可哀想でしょ。せめて、お仕置きぐらいにしておいたら?」

お母さん……。それ、どっちもあまり変わらないですから。

心の中で、軽くツッコんでおく。

お母さんのこの性格。何となく、千里さんに似ていると思うのは私だけ?

この親にしてこの子あり!! って感じで、ちょっとおもしろいかも。

思わずフッと笑みを漏らすと、志貴もフッと鼻で笑った。

「やっと笑ったな」

「ん?」

「おまえ、ずっと緊張してて、顔が強張ってただろ? おまえの長所は明るくて元気ってところ。笑顔が最高なんだから、そこ忘れんなよ。いいな?」

「う、うん」

何よ、急にそんなセリフ言われたら、志貴のことを好きな私はまた勘違いして、舞い上がってしまいそうになるじゃない。

笑顔が最高なんて、初めて言われたかも……。

千里さんが巫女の仕事について話してくれた時、『巫女っていうのは、神社の顔と言っても過言じゃない』と言っていたのを思い出す。

だから笑顔が大事。志貴が今言った言葉に、特別な意味はないんだろうけれど。

それでも志貴の言葉ひとつで私の心臓は高鳴り、胸に温かいものが込み上げるのを感じた。





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