恋の神様はどこにいる?
* * *
「もうっ、頭にくる!!」
家に着くなり手にしていた鞄を投げ捨てると、1DKの部屋の奥にあるベッドにダイブする。
華咲神社から、この賃貸マンションまで歩いて15分弱。その間に少しは気持ちが落ち着くと思っていたのに、まだ怒りは一向に治まらない。
「何なのよ、あの男。言いたいこと、勝手に言ってくれちゃって」
ゴロンと仰向けに寝転ぶと、いつも一緒に寝ているクマのぬいぐるみを抱きしめた。
普段ならこうすれば、スーッと心が穏やかになっていくのに。
「あの男の言葉と態度に腹が立ちすぎて、クマちゃんでも癒されな~い」
クマのぬいぐるみには何の罪もないけれどそれをポーンッと投げ飛ばすと、むくっと起き上がりキッチンへと向かった。
こんな時は飲むに限る。
冷蔵庫からチューハイを取り出すと、プルタブを押し開ける。そこに口を当てると、ゴクゴクと一気に半分ほど飲み干した。
「う~ん、最高!!」
飲み屋のおじさんよろしく、プハーッと息を吐く。二人掛け用のこじんまりとしたダイニングテーブルから椅子を引き出すと、ドスンと腰を下ろした。
「それにしてもあの男、どこかで見たことがあるような気がするんだよね」
チューハイの缶をテーブルの上に置くと、肩肘をついて考える。