恋の神様はどこにいる?
一つ目の角を曲がると走っていた足はだんだん速度をゆるめ、終いには止まってしまう。
何よ、志貴のあの態度。まるで『まだいるのかよ? 早く帰れ』と言わんばかりに私を追いやって。五鈴さんが来る前と後では、全然態度が違うじゃない。
ふたりがどういう関係かわからないけれど。五鈴さんは小さい頃から巫女をしていたみたいだし、幼なじみ的な感じなのかもしれない。
まさか恋人!? なんてことないよね? だって志貴、彼女も好きな人も今はいないって言っていたし。
いくら志貴が俺様で意地悪なことばかり言ってても、嘘をつくような人じゃない……と信じてはいるけれど。
あんな仲がいい場面を見せられると、その気持ちさえ揺らいでしまう。
胸の痛みは、未だに消えてはくれなくて。ふたりの姿が頭に浮かべば、更に胸はズキンと痛んだ。
「志貴の馬鹿……」
最近口癖のように出るその言葉も、今は強さが足りなくて。
いつまでもここに立っていたってどうしようもないことはわかっているのに、私の足は全く動こうとはしてくれなかった。