恋の神様はどこにいる?
☆俺様と王子様
それから二日たった金曜日の午後。
久しぶりの雨に降られ、特にやることもなく部屋でひとりくつろいでいた。
時々ボーッとして考えるのは志貴のこと。志貴のことを思えば五鈴さんも出てきてしまい、結局落ち込む羽目になるんだけど。
テーブルの上に乱雑に置いてあるファッション雑誌に手を伸ばすと、表紙に書いてある“こんな日の彼氏との過ごし方”という特集記事が目に入る。
特集ページを開き、彼氏もいないのに食い入るように記事を読んでいると、突然スマートフォンが鳴り響く。
「わあっ!?」
雑誌を読むのに集中していた私は派手に驚くと、テーブルの上のスマートフォンを手に取る。そしてディスプレイを見ると、そこに表示されていたのは……
「志貴!?」
大慌てで“応答”と書かれた文字をスライドすると、スマートフォンを耳に当てた。
『一秒遅いな』
まだ『もしもし』とか『はい』とか一言も発していないのに、第一声がそれ? しかも一秒遅いって、まさかちゃんと計ってたとか?
「そんな、三秒経ってなかったでしょ?」
『言い訳無用。明日、肩でも揉んでもらうとするか』
そう言う志貴は、いつもと変わらない志貴で。なんだかホッとする自分がいた。
考えないようにはしていたけれど、やっぱり五鈴さんのことが引っかかっていた私は、志貴の声を聞いただけで曇りがちだった気持ちが晴れていくようだった。