恋の神様はどこにいる?
“恋は盲目”とはよく言ったもので、普段の姿も神主姿もどっちもカッコいいんだけど。
「おまえって、何か狙ってものを言ってるのか?」
「何よ、それ? どういう意味?」
「なんて、小町にそんな技量はないか」
そう言ってハハハッと笑うと、車に向かって歩き出した。
今の会話のどこに、笑うツボがあったっていうの? それに何となく、馬鹿にされた感が否めないんですけど。
「何やってんだ、早く飯食いに行くぞ」
志貴は助手席側に立つと、ドアを開けて私を手招きした。
なにそれ? 志貴が私をエスコートしてくれている?
こんなシチュエーション初めてじゃないけれど、俺様な志貴にされると調子が狂うというか照れくさいというか……。
早い話が嬉しくて、そそくさと車に近づくと開いているドアの内側に立った。
「あ、ありがとう」
「いいえ、お姫様」
志貴はそう言ってにっこり微笑むと、私の手を取って甲にキスをした。それはまるで王子様さながらで、私は一体何が起こったのかわからず言葉を失ってしまった。
いきなり、どうしたっていうの? 志貴、どこかで頭でもぶつけた?
表情や立ち姿だけじゃなく声まで変わってしまって、今目の前に立っているのはまさしく白馬に乗った王子様そのもの。
あまりにも素敵で思わずポーッと見惚れていると、志貴の表情が一転した。