恋の神様はどこにいる?
「ぶっはははっ!! なんだよ小町、その素っ頓狂な顔は!!」
あれ? あれれれれ? 王子様はどこに言ってしまったの?
さっきまで目の前にいた王子様は一瞬で元の俺様に変身してしまい、私を見て大笑いしていた。
遊ばれた……。
また志貴の意地悪にまんまとハマった私は、もう反論するのも疲れてしまい。
「そうだよね。志貴は白馬に乗った王子様じゃなくて、白いライトバンに乗った俺様だもんね」
なんて、意味不明の言葉を呟いた。
「なんだよそれ?」
「ああ、気にしないで。こっちのことだから」
「ったく。それにしても小町って、面白いくらいわかりやすい表情するのな」
「放っといてよ」
「まあ、そう怒るな。旨いラーメン食わしてやるから」
「旨いラーメン? 志貴の奢り?」
「さあて、どうすっかな。とにかく早く乗れ」
志貴に車の中へ押し込まれると、バンッと勢い良くドアを閉められる。
車の前を通り運転席へ回る志貴を見ていたら、その顔はとても嬉しそうに笑っていて、その笑顔に心を奪われた。