恋の神様はどこにいる?
★心地いい時間
志貴に連れられてきたのは、最近近所で話題になっているとんこつ長浜ラーメンのお店。お昼時には毎日長蛇の列ができるほどらしいけれど、夜も八時を過ぎているからか今日はそこまで混雑していない。
すぐに案内されて、カウンター席で志貴と肩を並べた。
少し動けば肩が触れてしまいそうな距離に、何となく落ち着かない。
「小町、何食べる?」
志貴にメニュー表を渡される瞬間手が触れて、敏感になっていた私の身体は小さくビクッと跳ねてメニュー表を落としそうになってしまった。
「おっと。おまえ、何してんだよ」
「ごめん。ここ冷房がよく効いてて、手が震えちゃった」
なんて、見え透いた嘘をついてみる。
だって、『志貴の手が触れたからドキッとしちゃって』なんて恥ずかしくて言えないでしょ!!
志貴は私がとっさに付いた嘘をどう取ったのかはわからないけれど、「そっ」と一言だけ言うとニヤリと笑い身体を寄せてきた。
「な、何?」
「嘘つき」
「はあ!?」
な、なんでいきなり嘘つき呼ばわり? そりゃ確かに嘘はついたけど、なんでそれが志貴にわかるの?
まさか志貴、やっぱり私の心が読めちゃうとか? それとも、また顔に出てる?
ひとりであたふたしていると、志貴は店員さんを呼びラーメンを注文し始めた。