恋の神様はどこにいる?

もう少し、一緒に居たかったのに……。

ふと沸き起こる寂しさに、身体が勝手に動き出す。

志貴の左腕を掴むと、自分でも想像していなかった言葉が口から飛び出した。

「うち、寄ってく?」

……って、何言っちゃってるの私!? 

私の中にこんなことを言ってしまう能力があったなんて……驚きだ。

でも志貴は私よりも驚いているようで、しばらく私の顔をじっと見つめるとハッとして身体を少し離した。

「きょ、今日は止めとくわ。我慢できる自信ねーし」

「我慢?」

「いや、こっちの話」

そう言って頭を掻くと、目を逸らす。

こっちの話で我慢? 志貴は一体、何を我慢するって言いたいんだろう?

小首を傾げ、上目遣いで志貴の顔を覗きこむ。

「おまえそれ、意図的にやってんの? んなわけ無いか。全くおまえって奴は、昔も今も変わんねーな。俺の心にズカズカと入ってきやがる」

「昔って何よ? さっきから言ってること、全然わかんないんだけど?」

「今はまだわかんなくていーよ。バーカ」

「イテッ!!」

志貴は私の両頬を摘むと、それを横に引っ張ってからピンッと離した。

「暴力反対!! 私も一応、女なんですけど」

「こんなの暴力って言わねーだろ。……へぇ~、小町も女ねぇ……」

なんて言いながら、悪戯っぽく好奇心に満ちた目を私に向けた。



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