恋の神様はどこにいる?
「はぁ~。なんで私、志貴にあんなこと話しちゃったんだろう」
腕で顔を隠すと、大きくため息をつく。
いくらイケメンでいい人だとしても、自分の恋愛遍歴を全部話すなんてどうかしてるでしょ。
しかも蓋を開けてみれば、とんでもない俺様で。意地悪で勝手なことばかりしては、私を翻弄させる。
「でも、好きになっちゃったんだよね」
顔から腕を下ろし、志貴がキスをした頬に手のひらを当てた。
志貴にとってキスなんて、大したことないのかな?
あまりにも自然に、ごく当たり前のようにいつもキスをするから、その意味をはかりかねる。
でも嫌われてはいないよね? だって挨拶代わりだとしても、嫌いな人にはキスなんてしないと思うから。
そしてこれがいつの日か、お互いを想い合ってするキスになればいいな。
そんなことを考えていると急に睡魔が襲ってきて、まぶたが重くなってきた。
また明日、志貴に会える。どんな一日になるのかなぁ……。
薄れゆく意識の中浮かぶ、志貴の笑顔にもう一度『おやすみ』を言うと、ゆっくりと目を閉じた。