恋の神様はどこにいる?

「はぁ~。なんで私、志貴にあんなこと話しちゃったんだろう」

腕で顔を隠すと、大きくため息をつく。

いくらイケメンでいい人だとしても、自分の恋愛遍歴を全部話すなんてどうかしてるでしょ。

しかも蓋を開けてみれば、とんでもない俺様で。意地悪で勝手なことばかりしては、私を翻弄させる。

「でも、好きになっちゃったんだよね」

顔から腕を下ろし、志貴がキスをした頬に手のひらを当てた。

志貴にとってキスなんて、大したことないのかな? 

あまりにも自然に、ごく当たり前のようにいつもキスをするから、その意味をはかりかねる。

でも嫌われてはいないよね? だって挨拶代わりだとしても、嫌いな人にはキスなんてしないと思うから。

そしてこれがいつの日か、お互いを想い合ってするキスになればいいな。

そんなことを考えていると急に睡魔が襲ってきて、まぶたが重くなってきた。

また明日、志貴に会える。どんな一日になるのかなぁ……。

薄れゆく意識の中浮かぶ、志貴の笑顔にもう一度『おやすみ』を言うと、ゆっくりと目を閉じた。



< 162 / 254 >

この作品をシェア

pagetop