恋の神様はどこにいる?

「志貴?」

ディスプレイに表示されていたのは、間違いなく志貴で。

今日午後には神社に行くというのに、なんでこんな時間にメールしてきたんだろう?

何か緊急に知らせることがあるのかもと、内容を確認するとそこには。

【小町、午前中予定ある? なかったら、予定より早めにこっちに来て欲しいんだけど】

そう書かれていて。

ついこの前みたいに何か手伝わされるんじゃないかと、勘ぐってしまう。

でもまあ来週から奉職も決まっているんだから、もしそうだとしても断るわけには行かないんだろうけど。

【予定はないけど。何かあったの?】

言葉短めにメールを送ると、すぐにスマートフォンが鳴り始めた。

「な、何っ!?」

あまりにも驚いてしまい、誰から掛かってきたのか確認もせず出てしまう。

「もしもし?」

『あ、俺、志貴。朝早く悪いな』

「なんだ、志貴か。もう、びっくりさせないでよ」

『何だとはなんだよ。ちゃんと確認してないのか?』

「だって、いきなり鳴り出すからびっくりして」

『おまえは馬鹿か。電話なんていきなりなるに決まってんだろ。ったく。そんなことより、和歌ちゃんが風邪引いて休むことになってさ。悪いけど、今日から仕事でもいいか?』

「え? ま、まぁいいけど。でもすぐには出れないかも」

『なんで?』

「なんでって。昨日の夜、帰ってすぐ寝ちゃって……」

志貴のことを考えていたらなんだか気持ちがふんわりしてきて、睡魔に襲われたとは口が裂けても言えない。

『わかった。じゃあ二時間後の九時に迎えに行く。それまでに用意できるか?』

「用意はできるけど。いいよ、自分で行くから」

『雨降ってんし、今日は迎えに行く。家で待ってろ』

そう言うと、志貴は私の返事も聞かず電話を切ってしまった。


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