恋の神様はどこにいる?

そう勘違いしてしまう程この男性とあの男の声は似ていて、未だに彼を見つめたまましりもちをついていた。

「そんなに見つめられると困ってしまうな。僕の顔に、何か付いてる?」

「え? い、いや、あの、そのですね……」

「慌てちゃって可愛い。でも早く立たないと、パンツ」

「パンツ?」

「うん。見えちゃってる」

「えぇ!! 嘘!?」

「ははっ。うん、嘘だよ。でもいつまでもそんな格好じゃ、恥ずかしいでしょ? さ、僕の手を握って?」

それは確かに恥ずかしい。恥ずかしいけれどパンツ見えてるとか、そんな小学生の男の子みたいなこと言わなくてもいいのに。

それでも、いつまでも手を差し出してもらっているのは申し訳なくてその手に触れた。

すると、待ってましたと言わんばかりに私の手を握り引っ張りあげ、そのまま彼の腕の中に抱きしめられてしまう。

え? 何? 何が起こっているの?

突然のことに、胸はバクバク音をあげて騒ぎ立てる。

いくらこの場所が少し奥に入っていて人の目に触れないところだと言っても、いきなり抱きしめるってあり得ない。

「あの、なんで私、抱きしめられているんでしょう?」

「う~ん、なんでだろう? そうだな、君があまりにも可愛くって抱きしめたくなってしまったから、かな?」

か、かな? って。この人は天然か。天然なのか?

したくなっちゃったら、なんでもしていいの?

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