恋の神様はどこにいる?
☆複雑な気持ち
相川さんがお昼から戻ってくると、また志貴と入れ替わる。
志貴の後に私がお昼かなと思いながら、お守りや御札の整理をしながら「お疲れ様です」と声を掛けた。
「何言ってんの? 小町もだよ」
通りすがりに小さく声を掛けられると、志貴を振り返った。
「え、でも。ここ相川さんだけになってしまうけど……」
「ああ、ここは私ひとりで大丈夫ですよ。今日は一日、志貴くんと行動するって聞いてますからね」
「はぁ、では失礼します」
「はい。ご苦労様です」
相川さんに頭を下げると、志貴の後を追った。
授与所を出ると、社務所に入ろうとする志貴を発見。急いで後を追いたいのに、慣れない足袋と草履ではうまく歩くことができない。
それでもなんとか社務所の入り口に到着すると、入ってすぐの壁にもたれて志貴が待っていた。
「遅い」
「だって、草履でだとうまく歩けなくて」
「だってじゃない。早く慣れろよ。今から四十分休憩な。今日は弁当を用意してあるから。来週からは自分で弁当を持ってくるか、ここで朝弁当注文するかどっちかにしろ。いいな?」
「あ、はい。わかりました」
そうか、お昼の事すっかり忘れていた。
社務所の内の時計を見ると、もう十二時をとうに過ぎている。普段ならとっくにお腹の空いている時間帯なのに、今日は授与所の作業に頭がいっぱいでそんなことを感じる余裕もなかった。