恋の神様はどこにいる?
「五鈴、やっぱ時間ピッタリだな」
「森田屋さんの仕出し弁当があるって聞けば、来るに決まってるでしょ」
「だな」
相変わらずの仲の良さと息の合ったところ見せられて、チクッと少しだけ胸が痛む。
五鈴さんは当たり前のように志貴の隣に座ると、穏やかな笑顔で私を見た。
「小町さん、こんにちは。今日はよろしくね」
「あ、はい。こちらこそ、よろしくお願いします」
当たり障りない返事を返すと、目線を目の前にある弁当に向けた。
元々今日は午後から巫女舞を見せてもらう予定だったから、五鈴さんが来ることはわかっていたけれど。でもまさかこのタイミングで現れるとは思っていなくて、まだ心の準備ができていなかったというか……。
志貴と五鈴さんが幼なじみだとわかっても、ふたりを目の当たりにすると不安が込み上げてきて、元気が無くなってしまう。
「志貴は午後、何かあるの?」
「夕方から氏子総代と打ち合わせが入ってるけど、それまではそっちに付き合うよ」
「そっか。じゃあ今日は、久しぶりに志貴の舞いが見たいなぁ」
志貴の舞い? 志貴も巫女舞を舞うってこと? 男性なのに?
わからないことだらけで首を傾げると、それに気づいた志貴が怪訝なそうな顔を見せた。