恋の神様はどこにいる?

「小町、また変なこと考えてんだろ?」

「変なことなんて考えて……ないけど」

「その間はなんだ、その間は。どうせ『男なのに志貴、巫女舞舞うの?』とか思ったんだろ?」

「そ、それは……」

その通りで、返す言葉がない。

でもそれじゃあ五鈴さんが言った『志貴の舞い』って、一体どういうこと?

やっぱりわからなくてひとり頭の中を混乱させていると、弁当の蓋を開けていた五鈴さんが顔を上げた。

「志貴。もっと他に言い方があるでしょ、全く。小町さん、ごめんね。志貴は日本舞踊を習っててね、巫女舞も上手に舞うことができるのよ。でもそれは巫女として舞うわけじゃなくてね。姿勢とか起居動作を学ぶために日々精進してるってわけ」

「そうだったんですか」

「それも四年前から急に習い始めてね。何かあったの? って聞いても志貴ったら、全然答えてくれないのよ」

四年前……。

事あるごとに聞くその言葉に、一瞬何かが頭をよぎる。でもそれが何だったのかはわからなくて。志貴の顔を見ると、バツが悪そうに頭を掻きながら目を逸らした。

「五鈴、喋りすぎ。小町、おまえも余計なこと考えてないで、さっさと弁当食え」

「はあぃ」

何が余計なことよ。好きな人のことは、どんな細かいことだって知りたいって思うのが女ゴコロっていうもんでしょ!!

でもそれが五鈴さんの口からっていうのは、正直面白くないけれど……。



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