恋の神様はどこにいる?
五鈴さんと私とでは、志貴と関わったきた時間が違う。それはしょうがないことで。幼なじみとして培ってきた歴史は、一週間前に知り合った私には到底張り合えるものじゃない。
わかってはいるけれどそこを素直に受け入れられないのは、私の心のキャパシティが狭いから。
もう少し大人になれれば、一緒に笑っていられる?
五鈴さんに目線を動かせば、長くて綺麗な黒髪を右肩の方でひとつに束ねていて。その時少しだけ見えた白いうなじが色っぽくて、これは一生かかっても私に勝ち目はないとガックリ肩を落とした。
「あれ? ねえ志貴、今日のお弁当って特製弁当?」
「そうだけど。それがどうかしたのかよ?」
「え? いや、別に。へえ~そういうこと。志貴ってわかりやすいのね」
「放っとけ」
え? なになに? 志貴がわかりやすい?
その意味を確かめたくて、慌てて弁当のふたを開けてみたんだけど。
これで志貴の何がわかるの?
弁当の箱のなかには、唐揚げをメインにところ狭しと豪華なおかずがぎっしり詰まっていて。確かに特製弁当って感じだけれど、私にはそこから何も感じ取れなくてひとり小首を傾げた。
「小町、どうかしたのかよ」
「ううん、どうもしてない。いただきます」
慌てて手を合わせると、唐揚げをパクッと一口かじる。