恋の神様はどこにいる?

「志貴、何小町さん泣かせてるの? またキツイこと言ったんでしょ?」

「いえ、違います。私、五鈴さんの舞いを見て感動してしまって」

「えぇ!? 本当に? なんか恥ずかしいなぁ」

そう言って照れる顔もやっぱり素敵で。性格も申し分なくて女の私でも好きになってしまうくらいだから、男の人ならだれだって五鈴さんに恋してしまうだろう。

「おい五鈴、誰が泣かしたって?」

志貴も五鈴さんに恋してる? そして五鈴さんも。

そんなことあっては欲しくないけれど、ふたりを見ているとどうしてもそう思わずにはいられなくて。

ふたりが並ぶと“美男美女”という言葉がぴったり、誰が見たってお似合いで。それに比べると私なんて……と、ついつい弱気な心が出てきてしまう。

私を泣かした泣かしてないと言い合うふたりは、幼なじみ以上の関係がないようにも見えるし、それ以上の関係にも見えるし。

そんなこと聞きたくても、どんな答えが帰ってくるか不安で聞けない。

「小町、おまえが泣くからこんなことになるんだろ」

「ごめん」

「はぁ!? 別におまえが謝んなくても……」

「でも、ごめん。ちょっとトイレ行ってくる」

舞いの練習と言っても今は仕事中。なのにそれに集中できないなんて、巫女失格だよね?
しかもまた、トイレに逃げこむなんて。



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