恋の神様はどこにいる?
今日は朝から雨が降っていて。帰る頃には、その激しさを増していた。
「和歌ちゃんに小町ちゃん。志貴がもうすぐ帰るから、ふたりを家まで送るって連絡あったけど。どうする?」
「あぁ、私はいいです。彼が迎えに来てくれるって言ってるので」
和歌ちゃんは顔を赤くしてそう言うと、私を振り返り近づいた。
「小町さんは、お願いしたらどうですか?」
左腕を肘でクイクイ押し、和歌ちゃんはなにか言いたげな顔をした。
もしかして和歌ちゃん、私の志貴に対する気持ちに気づいてるとか? だとしたら、恥ずかし過ぎる。
「わ、和歌ちゃん、あのね。私は別に……」
「大丈夫ですよ。私、誰にも言いませんから」
和歌ちゃんは耳元に顔を寄せると、小声でそう呟く。
やっぱりバレてる……。
私の考えていることのわかりやすさは、天下一品かもしれない。和歌ちゃんでもわかるって言うことは、もしかして志貴や千里さんにもバレてたりして。
「なんてこと、ないよね?」
「ん? 小町ちゃん、今なにか言った?」
「いえいえ、何も」
「じゃあ志貴が送るのは、小町ちゃんだけってことで」
「すみません。お願いします」
ペコリと頭を下げると、「じゃあ着替えてきます」と部屋を後にした。