恋の神様はどこにいる?

「危ない危ない」

心の声を表に出してしまう癖、どうにかしないといけないな。

雨音を聞きながら着替えを済ますと、志貴がいるであろう詰め所に足を運ぶ。

と、その途中。

応接室から聞こえる声に、足を止めた。

「あれ? 千里さんと五鈴さん?」

こんな時間に五鈴さんがいるなんて、どうかしたのかな?

人の話を盗み聞くのはいけないこととわかってはいても、興味心というものはそれを抑えることができなくて。

「ちょっとだけ」

なんて、勝手なことを言って側耳を立てた。

『でも五鈴が本当の妹になるとは、世の中何が起こるかわからないよなぁ』

『ホントにね。急なお願いをしちゃって、ごめんね。土曜日の挙式に向けて、志貴も頑張ってくれてるし』

え? 何? どういうこと?

ふたりが話していることが、すぐに理解できない。

五鈴さんが千里さんの妹になる。ということは、野々宮家の息子の誰かと結婚するということで。千里さんの妹になるのならば、その相手はひとりしかいない。

それは……。

「し……き?」

ふたりは幼なじみ、だから仲がいい。ただそれだけだったんじゃないの?

今は恋人も好きな人いないって、志貴そう言ってたよね? 一ヶ月で俺を落としてみろって、そしたら付き合ってやるって言ったよね?



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