恋の神様はどこにいる?

香澄は十八時を過ぎると彼氏とデートがあるからと言って、さっさと帰っていった。

ひとり残された部屋はしんと静まり返っていて、また寂しさが襲ってくる。

「彼女がいる人だとしても……かぁ」

床に座りベッドにもたれかかると、香澄に言われた言葉を復唱する。

最初から彼女がいる人を好きになるのは、きっと苦しいしそれなりの覚悟がいること。やっぱり私にはそこまでクールになれない。もし逆の立場だったら? と考えてしまう。

でも今回は、好きになってしまってから事実が発覚して。もう気持ちがどうにもならないところまで来ていたから、どうしたらいいのかわからなくなってしまった。

「気持ちを伝えるくらいなら、いいのかな……」

そうしたら志貴のことはスッキリ諦らめられて、新しい恋を探すことが出来る?

そんなことやってみなきゃわからないのに、ひとりで考えては落ち込むの繰り返し。

志貴が帰ってくるのは金曜日。

それ日まで、志貴に教えられた巫女の仕事をしっかりやること。仕事に没頭していれば、他事を考えずに済む。



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