恋の神様はどこにいる?
しばらく彼の腕の中でおとなしくしていると、今まで泣いていた余韻でヒクッとしゃくりあげてしまった。すると野々宮志貴が、ククッと笑い声を上げた。

「何?」

「小町、ちょっとこっち向いてみ」

そう言うと私をクルッと回し、向かい合わせの格好になると私の顎をクイッと持ち上げた。

な、なにするつもり? まさか、キス? キッスなの!?

ゆっくり近づいてくる野々宮志貴の顔を見ながら、ダメの代わりにぶるぶる首を横に振る私。でもそれは野々宮志貴には伝わらなくて、顔はどんどん近づいてくる。

嘘!? もうそれ以上近づいたら、唇がくっついちゃう!!

志貴、ダメだってば!!

私はギュッと目を瞑る。

「やっぱ泣いた後の小町の顔、ブッサイク」

「へ!?」

「化粧取れてるし、目は腫れてるし、チョーウケるんだけど」

パッと目を開けると野々宮志貴の顔も身体も既に離れていて、腹を抱えて笑っていた。

あり得ないんだけど……。

それにチョーウケるって、あんたはギャルか? ギャルなのか?

と言うより、ギャルの方が数倍マシだって言うの!!

このっおたんこなす野郎っ!!

一瞬でも“良い人”なんて思った自分が情けない。


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