恋の神様はどこにいる?
★愛される身体
近所のイタリアンレストランで行われた披露宴は和気あいあいとした雰囲気の中、楽しい時間が過ぎていく。
私は志貴の隣、家族席に座らせてもらい、幸せな時間と美味しい料理を堪能していた。
それにしても五鈴さん、幸せそうだなぁ。
ブルーのカクテルドレスに身を包んだ五鈴さんは、招待客にくったくのない笑顔を見せている。
いつの日か私も志貴と……なんてひとり妄想を膨らませていると、志貴が指でテーブルをトントンと叩くのに気づいた。
「次の余興の最中に、ここを出るぞ」
志貴にそう耳打ちされると、うんと頷く。
とうとうこの時が来たか───
私は目だけで周りをキョロキョロと見ると、ナフキンで口元を整えてから身をかがめるようにして席を立った。
「うん? 小町ちゃん、どうかしたの?」
うぅ、さすがは千里さん。いつでもどこでも周りに目を向けているからか、すぐに気づかれてしまう。
「ちょっとお手洗いへ」
「そっか。気をつけてね」
千里さんはそう言うと、私にVサインをしてみせた。
なんで、今ここでVサイン?
その根拠は全くわからないまま、Vサインを返す。そしてそのままの姿勢で会場を出た。
そこには先に会場を出ていた志貴が待っていて、「行くぞ」と言うと、私に向かって手を差し伸べる。
その姿がまるで、ドラマの中の光景そのもので。
私はそのワンシーンに飛び込むと、志貴の手をギュッと握りしめた。