恋の神様はどこにいる?
「今日は疲れたろ? 寝ててもいいぞ」
と言われても、はいそうですかと寝るわけにもいかず。その場で固まっていると、顔に冷たいものが押しつけられた。
「小町も飲むか? ほら」
志貴に手渡されたのは、よく冷えたチューハイ。
志貴を見れば手にはビールが握られていて、プルタブをプシュッと開けるとそれを勢いよく喉に流し込んだ。
ゴクゴクと飲むたびに動く喉仏に、男らしさを感じて目が離せない。
……って私、何見てるんだろ。志貴を意識しすぎて、頭がおかしくなりそうだ。
「ホント、おまえって面白いよな」
「何よ、いきなり」
「今も俺を意識しすぎて、挙動不審だし」
「な、なんでそれを……」
知ってるの? バレバレってやつですか?
はぁとため息をつくと、気を落ち着かせるためにチューハイを一口飲む。
「四年前も、かなり挙動不審だったよな」
「その四年前の話だけど、それ本当に私なの?」
「ほんとに覚えてないのかよ?」
「うん、全然」
志貴は呆れたように大きくため息をつくと、身体を投げ出すようにソファにもたれた。
「あの時の俺、結構駄目な奴でさ。神職の仕事も無理やりやらされてるって感じで、どうでもいいから毎日遊び呆けてて。そんな時オールで遊んで朝早く帰ってきたら、女の子がひとり神殿の前でお参りしてたんだよ」
「へぇ~」
「へぇ~って、おまえなぁ」
そう言って志貴は手を伸ばすと、私の身体を抱き寄せる。
志貴から漂ってくるのは、同じシャンプーの香り。その匂いに誘われるように、志貴の肩に頭を乗せた。