恋の神様はどこにいる?
「おまえ『何かに怯えてるの?』って言ったんだよ。あれには参った。その通りだったからな」
「そんなこと言ったんだ。ごめん」
「なんで謝るんだよ。その通りだったって言ってるだろ。兄貴ふたりのできが良くて、俺だけ落ちこぼれ。女と馬鹿やっては、親父に説教されて。家族に見放されてるって思ってたんだよな」
志貴はそこまでいうと、天井を仰いだ。
その時のことを思い出しているのかな……。
顔だけ私の方に動かすと力なく笑う。その顔に胸がギュッと痛くなって、切なくて。
そっと手を伸ばすと、志貴の頬に触れた。
志貴の身体がビクッと震える。でもその後、目を細めて柔らかい笑みを私に見せた。
「あの時と同じ顔、するんだな。俺は四年間、その泣きそうな笑顔が頭から離れなかった。見知らぬ男のためにこんな顔する女、普通いないだろ?」
それは褒めてるの? それとも貶してるの?
志貴の顔を見ていれば、前者の方なんだろうけれど。
触れている頬をキュッと摘むと、少し引っ張ってから指を離す。
「悪かったわね、こんな顔する女で」
「ホントだよ。だから忘れられなくて。時々神社に来ては何かを祈ってるおまえが、気になってしょうがなかった。っていうか、もう四年前からおまえに落ちてた」
志貴はそう言いながら私の身体を一度引き寄せると、その身体をストンとソファに横たえる。そして私の身体の上に跨ると、ゆっくりと顔を近づけた。