恋の神様はどこにいる?

「小町、おまえは四年前こうも言ったんだよ。『自分を変えるって怖いですよね。でもそこを乗り越えないと、人って変わらないと思うんです』てな。その言葉、そっくりおまえに返してやる。俺はおまえの言葉で変わることができた。次はおまえが変わる番だ」

「私……が」

志貴はニッコリ笑うと立ち上がり、私を軽々と抱き上げる。それは世間でいう“お姫様抱っこ”と言うもので。

「重いから下ろして!!」

「嫌だ」

「恥ずかしい!!」

「俺は恥ずかしくない」

何を言っても堂々巡り。

諦らめておとなしく抱きかかえられていると、志貴は隣の部屋へと移動した。

そこには真新しいベッドに、真新しい真っ白なシーツが掛けられた布団があって。そこに下ろされると、ゆっくり身体が沈み込んでいく。

ふわふわの布団は、このまま眠るだけなら心地いいものだけど。

これから起こるであろうことを考えてしまうと怖くなって、目を瞑ると布団をギュッと握りしめた。

「そんなに怖がるな。何も無理やりやろうと思ってるわけじゃない。俺はおまえの元カレたちとは違って、セックスできないからって別れたりしない。四年も待ったんだ。おまえがその気になるまで待ってやるよ」

志貴はベッドの上に上がると、私の横に寝転んだ。首だけ動かして志貴の方を見れば、志貴も同じように私のことを見ていて。その目の優しさに、胸がキュンと高鳴る。

そして私を自分の胸へと引き寄せると、身体全部を包み込んだ。



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