恋の神様はどこにいる?
志貴に触れているところから伝わってくる熱。心臓の鼓動。息遣い。
どれもが私の心を、安らかなものへと導いていく。
私の髪を撫でては、ひと束すくって弄ぶ指。柔らかく微笑みながら私を見つめる、アーモンド形の瞳。少し伸びて無造作に揺れる髪。
志貴の何もかもが愛おしくて。
志貴に向かって手を伸ばすと、その手は呆気なく志貴に捕らわれてしまって。恋人つなぎになった手は、お互いの気持ちを感じ取るかのように固く結ばれる。
「おまえとは表面的な浅いところじゃなく、もっと奥の深いとこ。ここで繋がりたいと思ってる」
志貴はそう言うと、空いている方の手で自分の心臓のあたりをトントンと叩いた。
それって心? もっと奥の深いとこ……心で繋がりたい。
その言葉はまるで魔法でもかけたように、私の心に掛かっていた鍵をいとも簡単に開けてしまう。
自分を変えるためには、何かを乗り越えなければいけない時がある。
今がその時だよと、神様が教えてくれているのかもしれない。
「私も、ここで繋がりたい」
志貴の真似をしてトントンと胸を叩くと、志貴が目を見開いた。
でもそれも一瞬のこと。
すぐに元の優しい笑顔に戻すと、私を見つめたままゆっくり起き上がり身体の上に跨った。
志貴の目と身体に、熱が帯び始めたのがわかる。
不安がなくなったわけじゃない。でもそれ以上に、志貴と愛し合いたい、心も身体もひとつになりたいと思う気持ちのほうが強くて。
志貴となら大丈夫───
その思いが、私を突き動かす。