恋の神様はどこにいる?
もしかして私、志貴に会いたいって思ってる?
「いやいやいや。それはないって」
「はあ? おまえいきなり何いってんの? 頭イカれた?」
「え? あ、いや、あははは。気にしないで」
ヤバい。私ったら、何声に出しちゃってんのよ。場所を考えなさい、場所を!!
変な作り笑いしたから、志貴が怪訝そうな顔で見てるじゃない!!
今度は頭の中で、自分にそう言い聞かせる。
「ホント変なヤツ。腹減ってんだろ? よし、今日は俺のダチの店に連れて行ってやる。肉がメインの店だけど、いいか?」
「う、うん。好き嫌いはないから大丈夫」
肉食だと思われたか……。
でもまあ本当のところ、肉は大好物で。それがもし牛さんのお肉だとしたら、相手が志貴でも『ありがとー』って抱きついてしまうかもしれないほど。
いつの間にか頭の中はお肉のことでいっぱいで、志貴が微笑ましくこっちを見ていることになんて気づかない私は、助手席でひとり胸をワクワク踊らせていた。