恋の神様はどこにいる?
「志貴。もうちょっといい方があるだろう。初めまして。俺は志貴の友達で、泉雅斗と言います。まさとって呼んでくれて構わないから。」
「あ、はい。こちらこそ初めまして。真野小町です。今日は突然お邪魔して、申し訳ありませんでした」
「いやいや、キミが謝ることじゃないよ。悪いのは全部志貴なんだから。なあ?」
「はあ? 俺は客なの。そんなこと言ってっと、金払わんぞ」
「はいはい。俺が悪るかったって。全く、志貴には敵わないな。席、カウンターでいいよな?」
「ああ」
そう言って連れてこられたのは、手入れの行き届いた日本庭園が目の前に見えるカウンター席。大きな店内の一角にコの字に設置されたカウンターには、鉄板がびっしりと敷き詰められている。
その他に掘りごたつ式のテーブル席と、奥にはいくつかの個室も用意されているようだった。
「小町ちゃんは何飲む?」
いきなり名前を呼ばれて、店内をキョロキョロ見渡していた私はビクッと小さく身体が跳ねた。
「え、えっと……。じゃあビールで」
「俺も」
「了解」
いくら志貴の友達の店だと言っても、こんな高級感あふれる店にはあまり入ったことがなくて恐縮してしまう。
「小町、飲めるんだ? いきなりビール頼むとはな」
「うん、結構飲める方だと思う。あ、でも、図々しかったよね。ごめん」
「別にいいよ。今日は俺が奢るって言ったんだ。なんでも好きなもん頼め」
なんて言って微笑みながら、私の頭をクシャッと撫でた。