恋の神様はどこにいる?

あれ? この感覚って……。

そうだ。昨日初めて志貴に会った時。志貴がまだ本性を現す前。

『悩み事があるなら、僕に話してみない?』と、頭をひと撫でされたことを思い出す。

あの時の志貴と今の志貴。同じ人物でも性格はまるで正反対なのに、ふとしたところで志貴の優しさを感じてしまう。


───どっちが本当の志貴?


どちらが本当の志貴だとしても私には関係のないことなのに、ついついこんなことを考えてしまう。

私の頭の中は、相当暇なのかもしれない。

「はい、小町ちゃんお待たせ。これは俺からの奢り。今後ともよろしくね」

愛嬌たっぷりにウインクしてみせる雅斗さんにお礼を言うと、隣に座っている志貴が面白くなさそうに声を上げた。

「小町にだけってどういうことだよ?」

「当たり前だろ。男の、しかも志貴に奢ったって、なんの得にもなんないだろーが」

「何だと?」

「ああん、やるか?」

何この一触即発な雰囲気は。これってヤバいんじゃないの? 止めたほうがいい?

でもどうやって止めていいのかわからなくてひとりあたふたしていると、店のバックヤードからひとりの女性が出てきた。



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