恋の神様はどこにいる?
フンフンと鼻息あらくひとり憤慨していると、紗和と呼ばれた女性は志貴の胸ぐらをグッと掴んだ。
「志貴!! この子に早く謝んな!!」
「なんで俺が……」
「なんだい。私に歯向かおうっていう魂胆なのかい?」
「お、落ち着け紗和。わかったよ。謝ればいいんだろ。小町、悪かった」
な、な、なんだこれはっ!?
俺様ドSの志貴が、素直に言うことを聞いてる? 嘘でしょ?
私には何でもかんでも上からモノを言うくせに、どういうこと?
この女性、一体何者?
彼女のことを見る目線が、さっきまでの憧れにも似たものから、少しい怖いものでも見るようなものに変わってしまう。
「おい紗和。小町ちゃん、ビビってるぞ」
「え? いや、そ、そ、そんなことないですぅ~」
こら、私。なに動揺して、声が裏返っちゃってるの!! それじゃあ、ビビってるって言ってるようなもんでしょ。
いやいやいや、そんなことはないと手振り身振りでアピールしていると、紗和さんがププッと笑い出した。
「小町ちゃんっていうの? 可愛いねぇ~。怖がらなくても大丈夫。私、志貴以外の子には優しいから」
「は、はあ……」
そうなのか。それは良かった。でもなんで、志貴には優しくないの?