恋の神様はどこにいる?
「紗和、おまえなぁ。それじゃあ俺が、何かしたみたいじゃないか?」
「ふん。そんなこと、私の知ったこっちゃないね。志貴、この子になんかしたら、私が承知しないよ」
「なんかって……。俺が小町に何しようと、紗和にとやかく言われる筋合いじゃないってーの」
「いいかい、小町ちゃん。志貴にいやらしいことされそうになったら、すぐにここに来るんだよ?」
そう言いながらカウンター越しに腕を伸ばすと、私の頭を撫でた。
いやらしいことって……。
頭の中にあんな事やそんな事が浮かび、思わず赤面してしまう。
いや、志貴とそんなことになる確率は……。
───トクンッ!!
小さな胸が、音を立てた。
なんなんだ? このキュンとした痛みは?
志貴のことを考えて、なんでキュンッとしちゃうわけ?
もしかして私、志貴のこと意識してる?
いやいや、そんなこと100%あり得ないでしょ。
相手は志貴だよ? まだ昨日会ったばかりなのに、偉そうに意地悪なことばかり言う志貴だよ?
ちゃんちゃらおかしいっていうの。
今だって私の隣で不服そうにビール飲んでる志貴に、なんで私が……。
それでもなんだか気になってゆっくり志貴の方を見ると、不意に視線がぶつかり胸がドキンと大きく跳ね上がってしまった。