恋の神様はどこにいる?
嘘……でしょ?
今のはいきなりだったから驚いただけで、これは愛とか恋とかそういったたぐいの甘い痛みじゃない!!
絶対に違うっ!!
「小町。また顔が大変なことになってんぞ。いい加減、その考えてること丸分かりのような顔するの、気をつけろ」
「丸分かり……。丸分かりって、志貴に私の何がわかるっていうの?」
「どうせ、いやらしいことってんのを考えてたんだろ?」
「ち、違うし……」
「どうだか」
私の顔を見てニヤニヤ笑ってるところを見ると、私の言葉は信用してないみたい。
まあ少なからず、志貴の言う“いやらしいこと”は考えていたわけで……。
でも『志貴のことも考えてたから!!』とは、口が裂けても言えないし。
「そんなことどうでもいいだろ、志貴。ほら、まずは乾杯だ。小町ちゃんの初来店に、カンパーイ!!」
「「カンパーイ」」
雅斗さんと紗和さんの手にも、いつの間にかビールジョッキが握られていて。乾杯の掛け声とともにジョッキを高々と上げると、それを勢い良く飲み始めた。
「いや~、仕事中の一杯は旨いね~」
雅斗さんに紗和さん、そして志貴も、中ジョッキのビールを一気に飲み干してしまう。
私も飲める方だとは言ったけれど、さすがにこの量を一気は無理。
それでもなんとか半分くらい飲むと、ふう~と息をついた。