恋の神様はどこにいる?
「それにしても、志貴が女を連れてここに来るのは久しぶりだよな。四年ぶりか?」
「さあね、覚えてない。っていうかさ、そんなことどうでもいいだろ」
「どうでもよくねーよ。おまえももう二十八なんだぞ。嫁のひとりやふたり……」
「なんだよ雅斗。沙和意外にも女がいるみたいな言い方だな。おい沙和、雅斗のやつ浮気して……」
「志貴おまえなぁ、冗談でもそういうこと言うなよ!! 沙和が嫉妬深いの知ってんだろ」
相変わらず仲良く話をしているふたりのやりとりを聞きながら、私は雅斗さんが用意してくれる料理をひとり食べていている。
雅斗さんは志貴と話しながらも次々にいろんなお肉を焼いてくれて、今目の前の鉄板には私の大好物の牛肉がジュウジュウと音を立てていた。それを手際よく一口サイズにスライスすると、私の皿の上に綺麗に並べてくれる。
「これ、この店の人気メニューで俺の自信作。その自家製の柚子胡椒をたっぷり付けて食べてみて。遠慮せず、腹いっぱい食べなよ」
「はい、ありがとうございます。牛肉、大好きなんです」
「そうかそうか。小町ちゃん、ホント可愛いなぁ。なあ沙和。こんな娘が欲しいよな」
「いいねぇ。小町ちゃんみたいな子なら万々歳だね。マジで志貴にはもったいないよ」
「えっと、あの。私、志貴さんのなんでもないので。今のところは……」
沙和さんは私が志貴の恋人だと思っているのか、事あるごとに『志貴にはもったいない』を口にする。