恋の神様はどこにいる?
「ちょ小町、今下ろすから動くなって。ほら、早く吐け」
あ、そうだった。まずは、この吐き気をどうにかしなくっちゃ。
志貴がそばにいる手前、女の私が吐くなんて恥ずかしいけれど、もうどうにも止められないところまでそれは来ていて。一気に吐き出すと、はあ~と大きく息をついた。
「ほら、水。一度口ん中ゆすいでから、ゆっくり飲めよ」
「ありがと……」
なんだかやっぱり志貴が優しいんですけど。何か下心があったりするんじゃないの?
水を飲みながら、チラチラと志貴を覗き見る。
「何? おまえまた、やらしいこと考えてんだろ」
「考えてない!! そんなこと言う志貴が、考えてんじゃないの?」
「そりゃ男だからな、年中そんなこと考えてっけど」
「年中って……」
もしかして私、もう何かされちゃったとか?
慌てて自分の身なりを確認してみたけれど、特に変わったところは……ない模様。
「小町おまえ、俺に何かされたとでも思ってるわけ?」
「そ、それは……」
「酔ってる女に手は出さねーよ。それにだ、小町を抱くにはまだ早い」
「は?」
まだ早い? マダハヤイ?
それってまさか、いつかは私を抱くつもりでいるってこと?
なんで? 嘘でしょ?