恋の神様はどこにいる?
「ちょ、ちょっと志貴!! どういうつもり?」
「抱きまくら」
「抱きまくら? いい加減にしてよ」
「減るもんじゃなし、いいだろ」
志貴はそう言うと本当にまだ眠かったのか、あっという間にスースーと小さな寝息を立て始めた。
「嘘でしょ……」
なんで私が志貴に抱かれて寝なくちゃいけないわけ? しかも抱きまくらって。
目線だけ動かして壁に掛かっている時計を見ると、時刻はまだ朝の五時を回ったところ。起きなきゃいけない時間までには、まだ少し余裕があるけれど。
「もう、本当に勝手なんだから」
少しだけ顔を上げて見れば、人の気も知らないで気持ちよさそうに寝ている志貴の寝顔があって。
何故かその唇は緩やかに弧を描いているもんだから、何となく気を許してしまった私はそのまま一緒に眠ってしまった。