恋の神様はどこにいる?

「なんだよ、ジッと俺のこと見つめて。もしかして、それも俺を落とすための作戦?」

「わあぁ!! ち、違うし。見つめてないし」

顔を横にブンブン振ってそんなことないと訴えても、志貴は疑いの目を向けてきて。

「慌てるところが怪しいよな。正直に答えてみろよ」

「だから正直に答えてるし。志貴なんて、簡単に落とせるんだから」

「へぇ~、エラく上からモノを言うんだな。じゃあ、お手並み拝見といくか」

志貴はそう言ってコーヒーを飲み干すと、ガタガタッと椅子を鳴らして立ち上がった。

志貴の挑戦的な顔と椅子の音に驚いた私は、思わず身構える。

「な、何よ?」

「小町を家まで送ってくんだけど、何か? おまえまさか、俺に何かされるかと思った?」

「思うわけないでしょ」

って、めちゃくちゃ思いました!! そりゃもう、緊張で身体ガチガチですよ!!

心の中は冷や汗いっぱい。でもそんなこと、志貴にバレるわけにはいかなくて。

表の顔は、何事もなかったように涼しげな顔を作って見せた。

「無理しちゃって。ホント、お前って変わらないのな」

うん? 変わらない? 何が変わらないの?

志貴と知り合ってまだ二日しか経ってないのに、いきなり何が変わるっていうのよ。

変な志貴。

「急がせて悪いけど、そろそろ行くぞ」

「あ、うん」

志貴について神社裏にある離れをあとにすると、またあの白いライトバンに乗り込んだ。



< 71 / 254 >

この作品をシェア

pagetop