恋の神様はどこにいる?
「なんだよ、ジッと俺のこと見つめて。もしかして、それも俺を落とすための作戦?」
「わあぁ!! ち、違うし。見つめてないし」
顔を横にブンブン振ってそんなことないと訴えても、志貴は疑いの目を向けてきて。
「慌てるところが怪しいよな。正直に答えてみろよ」
「だから正直に答えてるし。志貴なんて、簡単に落とせるんだから」
「へぇ~、エラく上からモノを言うんだな。じゃあ、お手並み拝見といくか」
志貴はそう言ってコーヒーを飲み干すと、ガタガタッと椅子を鳴らして立ち上がった。
志貴の挑戦的な顔と椅子の音に驚いた私は、思わず身構える。
「な、何よ?」
「小町を家まで送ってくんだけど、何か? おまえまさか、俺に何かされるかと思った?」
「思うわけないでしょ」
って、めちゃくちゃ思いました!! そりゃもう、緊張で身体ガチガチですよ!!
心の中は冷や汗いっぱい。でもそんなこと、志貴にバレるわけにはいかなくて。
表の顔は、何事もなかったように涼しげな顔を作って見せた。
「無理しちゃって。ホント、お前って変わらないのな」
うん? 変わらない? 何が変わらないの?
志貴と知り合ってまだ二日しか経ってないのに、いきなり何が変わるっていうのよ。
変な志貴。
「急がせて悪いけど、そろそろ行くぞ」
「あ、うん」
志貴について神社裏にある離れをあとにすると、またあの白いライトバンに乗り込んだ。