恋の神様はどこにいる?
おかしな志貴。なにが言いたかったんだろう。
横顔を伺って見れば、志貴が何かを考えているのはわかるんだけど。これ以上聞いたって、教えてはくれないよね。
気になりながらも助手席でおとなしく座っていると、私が暮らしているアパートが視界に入ってきた。
「志貴。あそこに見えるのが、私のアパート」
「了解」
志貴はそう言うと、アパートの階段横のスペースに車を停めた。
「えっと……昨晩はご迷惑をお掛けして、すみません。ありがとうございました」
一緒の布団で寝ていたのは腑に落ちないけれど、酔って寝てしまってその原因を作ったのは私の方で。
ここはちゃんとお礼をしておくべきと、志貴に向かって頭を下げた。
「なあ小町」
「はい?」
「すぐに会社辞めて、神社で巫女として働け。俺の下婢として使ってやる」
「下婢?」
「まあ簡単にいえば、召使い?」
「め、召使い!? なんで私が、志貴の召使いになんなきゃいけないのよ!! しかもすぐに会社辞めろなんて、そんなの無理に決まってるじゃない」
そりゃね、今いる会社の私の立場は、そんな重要じゃないかもしれない。特に必要とされてる感もないけれど、
それでも私なりに一生懸命働いている。
それをすぐに辞めろなんて……。