恋の神様はどこにいる?
★好きに時間は関係ない
「信じられない。あっという間に仕事を失うなんて……」
「まあまあ小町、そんなに落ち込まないで。さ、飲んだ飲んだ」
「これが落ち込まないでいられますかって言うのよ!!」
テーブルに派手に突っ伏すと、そんな私を見て香澄はクスクスと笑いを漏らした。
今私は親友の三枝香澄と近所の居酒屋に来ていて、どうにも収まらない胸の内を聞いてもらっている最中。
なんで私が荒れていて、香澄に話を聞いてもらっているかというと……。
* * *
時間を遡ること十時間───
志貴にアパートまで送ってもらい憤慨しながらも出勤する準備をして会社に行くと、いつもは感じない視線をあっちこっちから痛いほど感じて。
でもそれが何なのかわからないまま私は自分のデスクがある部屋まで行くと、突然走ってきた花江先輩に腕を掴まれた。
「真野さん、ちょっとこっち来て!!」
「花江先輩、どうしたんですか?」
「いいから、黙ってついてきて」
花江先輩の慌てように神妙な顔つき。何かが起こったのは間違いないと思うけど、それは私に関係すること?
特に思い当たるフシがないんだけど……。
頭をひねりながらも花江先輩に腕を引かれ給湯室まで行くと、奥の方に身体を押し込まれてしまった。